箒の知識

  • ホウキモロコシ

 イネ科 モロコシ属の一年草。
畳に使うと、草が持つ油分などで艶がでると言われていて、江戸時代頃から職人たちが箒の素材として使っていました。
農家の人が自家用に箒を作る場合は地域によって採れる素材、ススキ、ホウキグサ、稲、沖縄ではアダンなども使われています。
江戸時代、関西圏では板間が多く、それに適した棕櫚(しゅろ)箒が多く使われ、ホウキモロコシでの箒は畳の庶民が多い関東圏を中心に使われていました.

当社のホウキモロコシは、台風や長雨などの被害を減らすため、種まきの時期に幅をもたせています。細い草や、一番穂を収穫した後に出て来る二番穂もとる為
収穫は一ヶ月以上かかります。

  • 栽培地

温暖な土地であれば、基本的に育ちます。中津箒では、茨城の土浦や、現在の成田空港周辺が主な買い付け先だったそうです。

最盛期には、列車丸ごと箒モロコシで一杯にして買い付けたと言う話もあるほどで、現在本拠地にしている、ホウキモロコシの蔵にしていた場所(現 市民蔵常右衛門)も、
1月分の収入で建てたと言われるほど活発な産業でしたが、現在では国産のホウキモロコシはとても稀少と言えます。
自家栽培によって、種蒔きの時点で箒の用途や材質を考えた栽培が出来、上質の箒や文化を作る事ができます。

  • 産地

元来は農閑期の仕事や副業で作られていた例が多く、専門職などを除けば箒作りは日本中の農家に広まっていました。
その中でも、群馬県の川場、栃木の鹿沼、埼玉県の上福岡、東京都の練馬、神奈川県の中津など、関東地方中心に大きな産地がありました。

  • 製造

育ったホウキモロコシは、種を採る場合実が成熟するまで待ちますが、良質の穂は実が成熟する前に収穫してしま
います。5月に植えたホウキモロコシは、7月半ばからだんだんと収穫します。草の途中から折る様に収穫すると、また生えてくる、その穂を一番穂、二番穂、三番穂と呼びます。
(一番穂が一番上等です。)
収穫した穂を脱穀、全体を天日干しで半日、穂を筵などで覆って3日程天日干し、室内に保存します。
製造過程においては、穂の選別作業が最も肝要な仕事と言われており、かつては職人の親方の仕事でした。
穂を、状態や長さ、太さ等で選別し、完成形ごとに適した束、マルキを作ります。マルキを、ホウキモロコシの穂(茎だけの部分をクダガラ、使える穂もついたものをガーボと言います。)で、クイボー(杭)を使い編んでいきます。穂の部分に、綴じ、小編みと糸の補強兼装飾を施し完成となります。

  • 職人

私達の拠点である神奈川県愛甲郡愛川町中津(旧中津村)では、箒に関わっていない家はないといえる位の大きな産地でしたが、現在、自家用で作っている方々を除き生産しているのは弊社だけです。
かつての技術を持ち、自家用に作っている方も全国的にはまだ多くいるかも知れませんが、高齢の方も多く、技術者は減少の一途を辿っています。

  • 習俗

箒は、生活用品でありながらも「払う・清める」などの機能から様々な使われ方をしてきました。
あまり歓迎されない客には、箒を逆さまにして置いておくなどは、良く言われる話ですが、掃き出すと言う事から
妊婦さんのお腹を撫でると安産になるとか、魔を払う、と言う意味で亡くなった人の横に置いたり、葬列の先頭の人
が掲げていたなど、地域や時期によって様々な使われ方をされていました。